疑わないでラベンダー (3/4)
委員長とキュラソーが居なくなると、雨もすぐに止んだ。残されたのはずぶ濡れの野郎どもだけだ。
「さて」
ぼちぼち解散かなーって思ってると安室先輩が近付いてきた。
「少し、良いですか?」
全然良いけどすぐ解散しなくていいんだろうか。今、まわりパトカーだらけだけど……あ、安室先輩に限っては大丈夫か。相手が公安なら仲間だわ。
いや、全然良いんだけど、ひしひしと圧を感じるその笑顔はなんですかね?俺なんかした?今回は別に安室先輩案件は……あ?
ん?
そーいや、今の俺って赤神崎くんモードだった気が……。組織案件だし念のため赤くしてたような……。そしてさっきめちゃくちゃ折くんって呼ばれてたような……?
やっべ。
「やり直しを要求します!」
「何をですか」
「ぼくトイレ!お化粧直ししてくる!!」
「却下」
コナンくんの真似してもダメでしたちくせう!かくなる上は!
元スコッチおにーさんの後ろに隠れる。
「ヒロ、それちょっとこっちによこしてくれ」
「はい」
「ぎゃあああああ!!売り飛ばされるぅぅぅ!!」
あっさり引き渡された!流れるような連係プレー!これが、ゼロヒロコンビパワー!くっ、直に見れて嬉しいなんて、ちょっとしか思ってないんだから!!
「それで、何か言い残すことは?」
「大凶だったんです!!」
「よろしい、歯を食いしばれ」
「暴力反対!」
いたーぁい!なにゆえにつむじグリグリしますか!なにゆえに神崎くんの首を腕でホールド!え?逃げないように?それは確かに。
「ギブ!ギブです、キブ!!国家権力の横暴反対!!」
「神崎、俺はお前のそう言うところだと思うよ」
何の話ですか元スコッチおにーさん!?あと、行方くらませてた期間が長かったのってそこまでの俺のせいでは。精々2割。……も、盛って四割くらい。
「た、助けてコナンくん!!」
「俺!?」
いや、なんか呆れた目でこっち見てたから……。赤井おにーさんにはなんか普通に見放されそうだし。
「どうせまた神崎さんがなんかやったんでしょ」
「また、ってなんです!?『また』って!?」
そんなまるで俺がいつも何かやらかしてみたいに!俺より大凶さんの方が叱られるべきだと思います!!
「今は状況が時間を許さないのでここまでにしておきますが……次にポアロに来たときは覚悟するように」
「先輩がパワハラするぅ」
「神崎くん?」
「はーい!!」
神崎くん、お返事ができる良い子ー!
安室おにーさんからようやく解放される。やったー、自由だあ。
水族館の方に戻っていく安室おにーさん。公安の人たちと合流するらしい。
赤井おにーさんとすれ違い様、ぐっと拳を作って、赤井おにーさんの胸を叩いた。割りと強めにいった音がする。ドン、って。割りと鉄の筋肉の赤井おにーさんがちょっとよろめいたぞ今。
「……これでまとめて貸し借りなしだ」
「甘んじて受けよう」
赤井おにーさんが苦笑した。
なんか分からないけど仲直りしたのかな。コナンくんどう思う?
「神崎お兄さん」
「うん?」
「僕もそう言うところだと思うよ!」
「コナンくんまで俺を見放します!?」
「雰囲気を和らげるためにわざわざ自分から怒られにいくから」
ぎゃふん。
コナンくん、それ言葉の刃。真実は時にはそっと隠しておいた方が幸せなこともあると思うの。神崎くんのメタ読み禁止。
俺以外の全員で『それな』みたいな雰囲気出されると神崎くん照れちゃう。むしろ泣いちゃう。泣くぞ!?
「神崎お兄さんの自業自得だと思うよ」
コナンくん、それトドメ!!
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