メルティー・レッド・ジンジャー・ティー (2/3)


「どう?解除できそう?」

起爆装置を確認している安室の隣でコナンが尋ねる。安室は軽く頷いた。

「問題ない……よくあるタイプだ、解除方法はわかるよ……」

少し意外そうにするコナンに、安室は小さく微笑んだ。
昔のことを思い出したのだ。爆弾についてはある友人に色々と教えられた。お前は器用そうだからできる、と無茶苦茶な理由で、いきなり爆弾を解除する羽目になったことを思い出したのだ。警察学校時代の、代えがたい友人の一人だった。
松田陣平。後に爆発物処理班のエースにまでなった男だ。観覧車に仕掛けられた爆弾とくると、どうしたってあの男を思い出さざるを得ない。アクセルばかり踏み込むように衝動的で、たまに大きな子どものようで、それでいて人を助けるためには自分の命すらも軽々と賭けてみせるような男だった。
松田の解体技術は完璧だった。直に教えられた安室が今ここで証明してみせる。

用意周到しゅうとうなことに、赤井が爆弾解除用の工具を持っていた。
安室に爆弾解除を任せられると分かるなり、工具だけを押し付けて言葉少なにどこかへ去っていった。遠隔操作で爆弾が起動しないようように、どうにかして時間を稼ぎにいったらしい

「簡単に言ってくれる……」

いつ爆発するか分からない爆弾の解除に、空から仕掛けてくる敵に対する時間稼ぎ。
本当に、簡単に言ってくれるものだ。
さっそく解除を始めようとしたところで、今度は急にコナンが駆け出した。

「どうしたコナンくん?」

「NOCリストを守らないと!!」

それだけ言って、どこかに走っていってしまう。
赤井以上に言葉が少ない。

「ったく……どいつもこいつも……」

簡単に丸投げしてくるものだ、と安室は流石に嘆息させられた。


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