君が飲み干すフェンネルティー (2/2)


「……同じことをもう一回やって、意味があるんですか」

もう一度観覧車に向かうことを説明すると、少女は予想通りに恨めしそうな視線を風見に向けた。キュラソーはただ静かに風見と少女のやりとりを見守っている。
てっきりまた食ってかかられるかと思ったものだが、昼よりは随分と少女の覇気はきがない。狙撃されたショックからまだ完全には立ち直れていない様子だった。

「……君が来る必要はない。この病院に護衛と共に残っても……」

「ううん。行きます……」

少女の手先は震えていて、怯えているのが見て取れる。だが、それでも否定の言葉を吐く語調ははっきりとしていた。何が合っても着いてくる。そんな、真っ直ぐな眼差しで風見を見上げてくる。止めることは難しそうだ。

「……分かった」

風見は何度目か分からないため息を飲み込んだ。


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