そんなこんなでラーメンナイト (2/3)
「ってかコナンくんと哀ちゃん腹減ってる?大丈夫?イブパやってきたんじゃないん?」
「イブパって‥‥‥‥クリスマスイブパーティーの略ね‥‥‥‥。大丈夫よ、昼だったし‥‥」
「食べきれなかったら無理せずおにーさんたちに言うんだよ~」
「ええ‥‥‥‥」
「これ、哀君!もうちと愛想をじゃな」
「あ、全然大丈夫ッス!俺と哀ちゃんの仲だもんねー?」
「貴方とはほぼ初対面だけど?」
「あはは、そうだったっけー?」
お察し頂けただろうか。
でぃてくてぃぶ・こなん界一幼女受けが良い(自社調べ)と噂の神崎折君の隣が空いてませんよ!
灰原哀ちゃんことクールビューティー幼女で埋まってますよ!
わぁ、髪の毛ふわふわ。
わぁ、目付き鋭い。
撫でていい?撫でていいかな?逮捕される?神崎君、向かいに座ってるお巡りさんに逮捕されちゃう??
それでも我が一生に悔いは‥‥‥‥‥‥ありそうだから今日はやめとこう。うん。
後からやっときゃよかったって思うことってたくさんあるしね。うん。
というわけでラーメン屋いんクリスマスイブナイトうぃず灰原哀ちゃんと阿笠博士と名探偵諸君!そして謎の一般人Aことポアロのバイト神崎君!
すごい!なんの集団かわからない!
哀ちゃんはなんかすごい来たがったから断りきれなかったんだって。コナンくんがこそっとさっき教えてくれた。
えー、誰狙いなんだろ。
って、メンバー決まってんだから昴さんか。昴おにーさんを敵情視察に来たのか。
‥‥‥‥昴さんだよな?
その割には沖矢昴と安室透の隣だけは固辞したそうな哀ちゃんをそっと呼び寄せてみたらてってってっと来てくれたのです。
よしっ!
一番恐れてたNOCサンドは避けられた!!さすがの神崎君も左右におにーさんず侍らすのは嫌だ!!
お前らでけぇぞ、俺の頭の上でギスギスすんなって言わずに済んだ!神崎君の大勝利!!
右隣にはしれっと沖矢昴が腰かけたけどノー問題!
俺の左隣は癒し!!
阿笠博士も着いてきてるし、変な話になったりはしないだろう。赤い髪の男の話とか赤い神崎君の話とか死んだはずの公安の話とか潜む気のない死んだはずの公安の話とか。
スコッチおにーさん、最近まるで正体隠す気なさそうで神崎君のちっちゃなハートが張り裂けそう。
まあ、あいつの話はいいんだ。
わあ、シルバーブレットズが向かい合って座ってるぅ‥‥っ!コナンくんちっちゃいなー。
「コナンくん頼むもの決まった?」
「あ、まだみてる‥‥‥‥。醤油と味噌で迷ってて‥‥‥‥」
「えー、どうせだったら半分こする?」
「えー‥‥‥‥」
コナンくん、顔が正直。
「あんまり構うと嫌われますよ」
あー、安室透とか言う職場の先輩なんか見えない。見えないったら見えない。
バイト先の先輩(野郎)とイブとか悲しすぎるから考えない考えない。
「神崎君は決まりましたか?」
おおう。
声帯オキヤスバルに名前呼ばれるのまだ慣れねぇ。
「もちもちー!年末年始スペシャルもちもち味噌ラー!」
「「「なんだそれ」」」
はもるな名探偵ども。
いいじゃんおもち。
美味しそうじゃん。
「あら、美味しそう。私もそれにしようかしら」
「哀ちゃんなっかまー!」
「はいはい」
なんだろ、すごく神崎君あしらわれてる気がしまぁす!
でもかわいいからよし!
「餅か!そういえばワシも最近食べてないのぉ!おお、特盛とんこつにも‥‥‥‥」
「博士」
「はい‥‥‥‥」
哀ちゃんつぇぇぇ。
でも博士、餅特盛のとんこつは流石にカロリーお化けっス。
餅とラーメンなだけですでに炭水化物やばいのにさ。
「ボク、普通の味噌にする!」
あ、コナンくんこのメンツなのにあざとさモードで行くのね。安室おにーさんが居るからか。
くそう、かわいい。
「餅食べたかったら神崎おにーさんに言ってね!」
「あ、うん‥‥‥‥」
だからコナンくん、顔が正直。
「安室先輩と昴おにーさんは決まったー?」
「「と‥‥」」
「‥‥‥‥とんこつで」
赤井さん強い。
微妙な距離感のトリプルフェイスとはもりかけたけどそのまま押しきった。
「僕も同じのを。この時間はどうしてもこってりしたものが食べたくなるんですよね」
「ええ、やめた方がいいのはわかっているのですが、どうしても」
見た目だけはたまたま隣になって視線があっちゃったサラリーマン同士だ。
同じ真夜中に一人でラーメンしてる仲間意識ってあるよねわかるわかる。
「まだ、調理されているものを口にいれているだけ良いと思うと罪悪感も薄れてしまって‥‥‥‥」
「ええ、コーヒーでカロリマイトを流し込むよりはマシですしね‥‥‥‥」
「ははっ、徹夜続きだとそうなってきますよね」
「はいはいとんこつ二つー!おにーさん!ちゅーもんおねがいしまーーす!」
人間の生活してねぇなこいつら。
これ以上聞いてられっか!こいつら人間じゃねぇぞジョジョオオオオオオオ。
神崎君、レポート前日すら徹夜したことないからマジでこいつらの感覚わからないよ!
とりあえず注文だけ取って、ラーメンが来るまでは後はダラダラたーいむ。
メンバー変に増えちゃったし、そつなくムードメーカーする安室先輩と昴さんは一緒にすると役に立ちそうにないし。
ここは?神崎君が?一肌脱いで場をなごませいだだだだだだだだだだ。
ちょっ、なんで足を踏むの安室テメー!ってか見もせずによく俺の足だけピンポイントで踏めたな!?すげぇ!!憧れる痺れない痛い!
でも神崎君めげない。
「ちゃらちゃっちゃー!じゃーーーん」
「うわっ‥‥」
コナンくんが呻いた。
まだドンドキ・ホーテのビニールしか見せてないというに。あ、中身透けてます?真っ赤だから目立つか。
中に入ってるたくさんのサンタ帽見えちゃうか。
「クリスマスイブなので持ってきちゃいましたーー!」
「おお、サンタ帽か!クリスマスっぽいのぉ!」
「だしょ、だしょ~」
意気投合する神崎君と博士。
ちなみにほぼ初対面。
コミュ力強すぎぃ。
降谷の顔になりかけてる安室サンも見習った方が良さすぎぃ。
推定・赤井秀一ことオキヤスバルの前で降谷出すほど気は抜けてないらしいけど、目は若干座りぎみ。
安室透はそんな顔しない。
「途中でドンキに寄ったのはそのためか‥‥」
「そのため!です!はい、安室先輩のぶん!!」
「いりません」
いででででで。
爽やかな笑顔で足を踏みにじられる。
なんでさ!
いいじゃんサンタ帽くらい!クリスマスだよ!イブだよ!冬だよサンタだよ!!!
これだから安室透は。
「サンタか‥‥‥‥なんだか、久しぶりに見ましたね‥‥」
「クリスマスに町歩けば色んなとこにない?普通に」
スナイパーしてるか引きこもってるかのクリスマスイブばかりですか。これだから赤井秀一は。
どうせなら遊園地でうぇいうぇいやればいいのに。俺はやったことないけど。
「意外と目につかないものですよ‥‥どれ‥‥‥‥」
ひょいっと袋の中からサンタ帽を取り出す沖矢さん。
被るんかい!
いや持ってきたの俺だけど!
沖矢昴の頭にサンタ帽乗る――って俺に被せるんかい!!!
「ああ、中々似合っている‥‥‥‥」
「ねぇ、ガキみたいって言ってる?ねえねえ、神崎君かるーくディスってる??」
「微笑ましいと言っているつもりだったんですが‥‥‥‥」
「神崎さんってほんとに赤‥‥‥‥」
コナンくんがなんか言い描けたけどやめた。
え、なになに気になる。
「俺、赤好きーー!」
なんかコナンくんが笑顔のまま固まった。
え、なに。俺なんかした?
「「ホー‥‥‥‥」」
俺なんかした!?
「そうなんですか‥‥‥‥初耳ですね‥‥‥‥」
「あれ、沖矢さん知らなかったっけ」
「僕も、はじめて聞きましたね。へぇ、赤色‥‥‥‥」
あっ。
「俺よく赤着て――ないな。そういえば最近緑とか多いかも」
そういえば神崎君、あえて赤色避けてたような。
あれれぇ~、おかしいなぁ~?
ばっちり頭に赤載せちゃったぞ~?
コナンくんのおめめが「ばかやろう」って言ってるぞー?昴さん、そこさっき安室先輩に踏まれたとこ。強めに突っつかないで、痛い。
ってか乗せたのはアンタだ、スナイパーめ。
神崎君知ってる。
こういうのは動揺した方が負けなんでしょ、知ってる。
「今度真っ赤に染まって来てやるぜ!」
「それでポアロに来るのはやめてください」
「えー」
派手すぎる私服には先輩チェックが入るらしい。
俺のバイト先きーびしー。
まあ、いいやとりあえず赤仲間に被せとこ。
「よいしょー」
「君はこの点に関しては見た目を裏切りませんねぇ」
拒否はされなかったけど遠回しにパーリー野郎って言われた気がする。
見た目も中身もうぇい系!いぇあ!でもアドレス帳に登録されてるお友達はちょっと少なめ!それが神崎君!
ってか、この点に関してってなんだ。
神崎君に意外性なんて大してないわ!
「俺はいつでも等身大の神崎君~」
しれっと逆隣の哀ちゃんに頭もサンタさんにしようと。
「いやよ」
しょんもり。
「哀ちゃぁん‥‥‥‥‥‥‥‥」
普通のこどもなら飛び付くのにぃ。
いいの!?って聞く前に帽子かっさらってく子もいるのに‥‥。
って、ここに居るの元10代の子供ばっかじゃねぇか。そりゃ誰も飛び付かねぇわ。
「でも、帽子のせたら絶対かわいいと思うな~」
神崎君、一般人。
ブラックな組織の不思議なお薬とか知らない。
だから哀ちゃんに全力でおこちゃま接待してても変じゃない不思議じゃない不審者じゃない!
俺らの灰原哀はかわいいんだ!!
「とりゃっ」
「あ、ちょっと‥‥‥‥」
すっ、と無理やり載せてみる。
え、かわいくね。
やっぱり哀ちゃんかわいくね。
ブッ、とコナン君こと中身工藤新一が吹き出した。
「に、あってるとおもうよ!」
いい笑顔だなちっちゃな名探偵君。
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
哀ちゃんのコメカミに怒りマークが浮かんだ。
気がした。
確認できる前にガタッと哀ちゃんが立ち上がって俺に手のひらを差し出す。
あいあいさー!とサンタ帽を乗っけちゃう。
「江戸川君も、似合うと、思うわよ」
「う、うん‥‥‥‥」
ツカツカ歩いていって問答無用でコナン君の頭に帽子を乗せる。
こっちから哀ちゃんの表情は見えないけど、コナン君のひきつった顔になんとなく察する。
仲いいなぁ。
いいなぁ。
二人ともサンタ帽お揃いだぁ。
「アガサさんもどーぞー!」
「ワシもか‥‥ちと照れるのう」
とか言いつつノリノリっすね博士。
思ったよりでかいっすね博士。
帽子がなんかちっちゃくみえる。
そのまま流れるように安室先輩へ視線を向ける。
おおう、いい笑顔。
チキン肌立った。
「安室せんぱぁい」
「神崎君?」
「あ、安室さーん」
「神崎君?」
「‥‥‥‥」
笑顔が鉄壁の拒絶。
安室透のスマイル強い。
だが俺には聞こえん!!!
「そりゃっ」
ずぼっと遠慮なく被せてみる。
ははははー!どうだー!赤い帽子の安室透ことフルヤレイだー!
これでサンタ帽集団いんラーメン屋完成である。
なにこれこわい。
「まったく君は‥‥‥‥」
また足グリグリされるかなーと思ったけど、意外と安室先輩は怒らなかった。
珍しく心が広い。
珍しく。
呆れられてはいるけど。
「神崎君と安室さんは仲が良いんですね」
うひょう。
声帯オキヤスバルびっくりする。
「あははは、バイト先の後輩ですからね」
安室さん、目。
目が絶妙に笑ってない。
オキヤスバルは天然なの確信犯的煽ラーなのどっちなの。
この人やっぱよくわかんねぇな。
「安室さんは面倒見がよさそうじゃしのう」
「えー、アムロン先輩口うるさげふんげふん」
「はぁ‥‥‥‥」
そういうところだ、なんて幻聴が聞こえた。
やだ、神崎君安室さんの幻聴聞いちゃった。
もしかして‥‥‥‥?これが‥‥‥‥?
叱られすぎ‥‥‥‥?
「あ、ラーメンきたよ!」
安室さんの袖引っ張るコナン君、あざとい。
あ、俺のもちもちラーメンも来た。
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