大凶ヒーロー、運び込まれる (3/3)
玄関の方にかけていくコナン君。
この屋敷やたらと広いから、ドアにつくまでちょっと時間がかかりそうだ。
「こんな夜中に来るなんて、無作法な奴も居たもんだね」
「真夜中にサイレンサー付きの銃を突きつけてくる男も、大概だがな」
「それ、犯罪者って言わない?」
「ハハハ!そうだな!」
まあ、俺のことですよね。
せちがらい世の中で涙が出ちゃいそうだぜ。
「赤井おにーさんさ」
「ん?」
「何でその格好でわざわざ出てきたわけ?組織からは死んだことにされてるんでしょ」
「そうでもしなければ、君は逃走を試みていただろう。大胆なのか慎重なのかよくわからない性格をしているな、君は」
ヤケってのが正しいと思います、シュウお兄ちゃん。こちとら、トリップ直後に殺人犯扱いでブラックな組織に追われてるんだぜ?
「それに忠告の意味もある。今回もまた君は派手な立ち回りをみせた。いくら素顔が割れてないとは言え、あまり組織を侮らない方がいい……」
「あれ以外にいいアイデアが思い浮かばなかったの。時間もなかったし。俺だってあの灰皿さえでてこなきゃ、今頃バイトしてたって」
「これからは、もう少しこちらを頼ってくれるとありがたいのだが」
やだ、この赤井さんイケメン。抱いて。あ、嘘。やっぱり俺女の子のがいい。
「随分と俺を気にかけてくれんだな」
「……君のその情報網を取り入れたくてね」
「あ?」
「スコッチの件から、君は少なくとも敵ではないと思っている。同じ組織を追う仲間になれる者だと……」
「………………そりゃ、ファン冥利に尽きるねぇ」
「ファン?」
俺が誰推しかって?最近はキュラソーたんにゾッコン……って、あ?聞いてない?そうか……。
「っと、コナン少年は大丈夫かね」
「!」
驚いたようにこちらを見る赤井おにーさん。
え、俺なんかやった?
『神崎!!そこにいるなら返事をしろ!!』
下から聞こえてきた声。
懐かしいような、最近聞いたばかりのようなあの声だ。
ほんとに生きてやがった。
「神崎……?いや、この声は……!」
あ、待って。
スコッチおにーさん生きてたら俺の本名バレんじゃん。つーかアイツ、免許証経由で俺の素っぴんみてんじゃん。神崎君ったらうっかり☆
……もう知らね。考えるのもめんどくせぇ。こうなりゃ逃げの一手である。
諸君、これから神崎君の華麗なる戦略的撤退をお見せしよう!
「っと、そろそろお暇の時間だ。俺は帰らせてもらうぜ!」
屋敷のいいところって知ってるか?
窓がたくさんあることだね!
一個開けちゃう。
「待て!!」
「どーせまた会うと思うから、そんときまでプロポーズの返事は考えさせてくれよ。今日は楽しかったぜ」
神崎君フルボッコタイムだったけど、原作キャラと絡めるのは正直嬉しいです。
俺、シルバーブレットにサンドされてきたんぜ、うへへへ。
「それでは、アディオス」
「待て、まだ話は終わっていない!」
『赤井!!その怪奇現象を早く引き留めろ!!』
二階だとか関係ないぜ。
神崎君キャンフライ!
どうせ一階でも運が悪いと足くじくしな!
…………スコッチさん、怪奇現象って呼び方はあんまりだと思うんです。
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